「千夜一夜物語」観た（ネタバレ注意）

虫プロダクション1969年作品「千夜一夜物語」　you tubeで限定公開していた。

面白かった。

見どころだらけ！ 作品が熱をもっている。

ええっ主演は青島幸男？！青島幸男見直したぞ。

美術はやなせたかし。

CGないからこその思い切りよく凝った映像とか、こういうの今となっては誰も作れないだろうな。

出だし、砂漠を主役アルディンが飄々と歩いて来る長いカットがとても印象的。

そこに流れるアルディンのテーマ曲もいい。

これはもしかして、「アラビアのロレンス」の有名な砂漠シーンのオマージュではないのかな。（「アラビアのロレンス」は1963年日本公開。）

ここからヒロインミリアムが競りにかけられアルディンが一目惚れするまでがすごく良くて、そこばっかり5回くらい観返してしまった。

アルディンのテーマを歌うのはチャーリー・コーセイだし、アルディンのキャラクターやもの言いはルパン三世を彷彿とする。 ここから1971年のルパンシリーズにつながっているのかもしれない。

ヒロインのミリアム岸田今日子。登場からずいぶんたって、初めて発声が「くくくっ」という笑い声。色気あり、そして可愛い。

おきゃんで向こうっ気の強いマーディアはいかにも手塚ガールでとっても可愛い。

こんなに可愛いのに、バドリーに翻弄されるマーディアがあんまり哀れできゅっとなる。

イスラム男社会の中でありながら、ミリアムもジャリスも自分の意志で男を選びそれを幸福だと感じている。

そしてマーディアはというと無法者のボスの娘で奔放に見えるのに、結局男に振り回されっぱなしだ。

ところでマーディアの最期は火の鳥・鳳凰編のブチと重なるな。

そういえばアルディンが地下の穴から逃げ出す場面は火の鳥・黎明編と重なるね。

吉行淳之介とか小松左京とか、野次馬のひと言出演に友情を無駄遣いしてる感あって、すごく贅沢した気分。

この贅沢は、時代と人間関係の妙ですね。